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大津地方裁判所 昭和61年(わ)539号 判決

本店の所在地

滋賀県草津市新浜町三五〇番地の六

株式会社アパレル

(右代表者代表取締役 小沢政治

本籍

大津市中庄一丁目四六六番地の三

住居

埼玉県与野市上落合一一八八番地 ハイム松原二〇一号室

会社役員

大原逸男

昭和一七年一一月二二日生

法人税法違反各被告事件

出席検察官

生形修

同弁護人

井上隆晴(アパレル)

野村裕(大原逸男)

主文

被告人株式会社アパレルを罰金五〇〇〇万円に、

被告人大原逸男を懲役一年二月に、

それぞれ処する。

被告人大原逸男に対し、この裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予する。

訴訟費用は被告人大原逸男の負担とする。

理由

(罪となるべき事実)

被告人株式会社アパレルは、滋賀県草津市新浜町三五〇番地の六に本店を置き、衣料用繊維製品の製造販売業等を営むもの、被告人大原逸男は、同会社代表取締役としてその業務全般を統括していたものであるが、被告人大原逸男は同会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、架空の仕入及び架空の広告宣伝費を計上するなどの方法により、所得を秘匿した上

第一  昭和五七年四月一日から同五八年三月三一日までの事業年度における所得金額は二億四、五九九万三、〇〇七円で、これに対する法人税額は一億一一六万八、九〇〇円であるのに、同年五月三〇日、同市大路二丁目三番四五号所在の草津税務署において同税務署長に対し、所得金額が八、〇六四万三、〇七九五円で、これに対する法人税額が三、一七三万五、三〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により、同事業年度の法人税六、九四三万三、六〇〇円を免れ

第二  同五八年四月一日から同五九年三月三一日までの事業年度における所得金額は一億四、六八七万三、五六〇円で、これに対する法人税額は、五、八九四万九〇〇円であるのに、同年五月二二日、前記草津税務署において同税務署長に対し、所得金額が三、〇三四万一、五六八円で、これに対する法人税額が九九九万七、五〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により、同事業年度の法人税四、八九四万三、四〇〇円を免れ

第三  同五九年四月一日から同六〇年三月三一日までの事業年度における所得金額は二億八、二七三万九、七八二円で、これに対する法人税額は一億一、六五九万九、二〇〇円であるのに、同年五月二八日、前記草津税務署において、同税務署長に対し、所得金額が五、三二三万三、八六二円で、これに対する法人税額が一、七二九万六、三〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により、同事業年度の法人税九、九三〇万二、九〇〇円を免れ

たものである。

(証拠)

一  大蔵事務官作成の各脱税額計算書、脱税額計算書説明資料、各証明書及び各査察官調査書

一  大蔵事務官作成の次の者に対する各質問てん末書

南光則(三通)、勢力平、土屋義弘(六通)、本間正喜(一〇通)、桃園正(二通)、安田すずな、疋出敏明、中川恵生、被告人大原逸男(一七通)

一  次の者の検察官に対する各供述調書

南光則、勢力平、土屋義弘、本間正喜、寺嶋一朗、被告人大原逸男

(法令の適用)

判示各行為は各事業年度ごとに法人税法一五九条一項(被告人会社については、さらに同法一六四条一項)に該当するところ、被告人会社については情状に鑑み同法一五九条二項を適用し、被告人大原については所定刑中懲役刑を選択することとし、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、被告人会社については同法四八条二項により合算した金額の範囲内で罰金五、〇〇〇万円に、被告人大原については同法四七条本文、一〇条により犯情最も重い判示第三の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で懲役一年二月に、それぞれ処し、被告人大原に対し情状により同法二五条一項を適用してこの裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予し、訴訟費用は刑事訴訟法一八一条一項本文を適用して被告人大原に負担させることとする。

(裁判官 梶田英雄)

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